売上の最大化と経費の最小化、それが利益を最大化するただ一つの道
経営の神様、稲盛和夫氏は「経営とは」について、こういう言葉を残しています。
経営とは非常にシンプルなもので、その基本はいかにして売上を大きくし、いかにして経費を小さくするかということに尽きます。利益とはその差であって、結果として出てくるものに過ぎません。したがって私たちはいつも売上をより大きくすること、経費をより小さくすることを考えていればよいのです。常識や概念にとらわれてはなりません。売上最大、経費最小のための努力を、日々創意工夫をこらしながら粘り強く続けていくことが大切なのです。
これは、規模は天地ほど違えど、僕のような個人事業でも全く同じです。ただ僕の所属する独立系FPの業界では、あまり「利益」にフォーカスが上がることはありません。サラリーマンの多くが「年収」で自分の現在地を評価するのと同じように僕たちも「年収」(ただし、経費自分持ちの個人事業なので正確に言うなら年商)で自分の能力を判断しがちです。つまりは「売上」が大事なのです。
まぁ本来能力をお金で判断するというのは間違ってるという意見もあるとは思いますが、かといって人格で判断するのと比べればはるかにわかりやすく公平な基準なので、嫌いではありません。
んでFP業界全体の圧力として、「いくら稼いだか」、いくらの年収(ほんとは年商)があったか、つまりいくらの「売上」があったかというのが価値基準となり、それが自分の仕事のわかりやすい成績表にもなってきました。だから自分という存在を証明したければ、とにかく年収を上げること、つまり売上を上げること。これが至上命題のような文化のなかで育ってきました
するとどうなるか?「利益」に対して目が向かなくなります。「経費」も度外視します。いくら経費を使ってもそれは「先行投資」、「自己投資」と見なされ、「一流を知る」、「勉強のため」、「学びは距離に比例する」などの美辞麗句に押し流されて正当化されます。
これは僕のみならず、業界全体がそうなっているといっても過言ではありません。勉強を全くしない他の業界(不動産とか)に比べれば対顧客で見れば良いのかもしれませんが、FP個人の生活面から見ると、良い事ばかりであるとは言えません。
事実、大方の「それなりに売れているFP」の家では、経費がエライことになっています。そしてもちろん、それなりの売上があるため生活はなんとか回るのですが、そうではなくなってしまった場合、例えば今回の僕のようにちょっとしたトラブルで収支が崩れた場合などは、目も当てられない状況になります。
家族も高コストの生活に慣れ、自分の身を削るとか節約するとかいう意識を持たなくなります。そうなると転落は早い。同じような状況にあるであろう同業者に向けて、また自戒を込めて書いておくことにしました。
ちなみに年収(年商)で言うと、この10年はこんな感じでした。ここから活動費は別途でていきます。だからサラリーマンの年収とは少し違うかも。
2008年 1430万
2009年 1920万
2010年 1280万
2011年 1620万
2012年 2270万
2013年 2460万
2014年 2200万
2015年 1800万
2016年 1500万
2017年 2000万
それで今の状況はどうかというと、マイナス350万の債務超過状態です。どうなっとんねん。
敗因ははっきりしていて、
売上の最大化+経費の最小化=利益の最大化
を気にするべきところを、
売上の最大化
しか気にしていなかったことです。
経費にも利益にも目を配ることはありませんでした。
実際、右肩上がりとは言わないまでも、それなりに安定した稼ぎがあったので、経費を使えば使うほど自分の能力は高まり、来年こそはもっといい成果が出せるのではないかという錯覚に陥っていました。実際勉強している人は多いですし、業界的に食指が動こう研修も非常にたくさんあります。
結局そういったものの取捨選択をしないままどか食いしていた時代が10年ほどあり、今年は収入がやたら少ないので一気に生活費を含めた経費に食われてしまった、ということです。
では肝心の「経費」の方を見てみましょう。
多くの人にとっては「なんだそりゃ!」という内容かもしれませんが、恥を忍んで書いておきます。経費の内訳は固定費と変動費に分かれます。
(固定費)
家賃 24万
教育費(子供の習い事、自己投資含む) 11.7万
光熱水道費 4.3万
会員制情報各種 3.1万
携帯 0.6万
生損保、iDeCo 12.4万
売上に連動しない生活固定費だけで計56.1万です。生損保はもちろん貯蓄性のあるものも含まれますが、いかんせん逆ザヤ。
さらにここに下記の変動費がつきます。
自分の食費(会議費、接待交際費含む) 15万
家族の食費 13万
交通費 5万
出張(関西に月1回行くとこれぐらい) 5万
タクシー(自家用車なし) 5万
図書費 0.9万
計43万
はい、着地を合わせた感がありますが、固定費+変動費の合計が、なんと100万となりました。
これは逆算すると、月収ベースで140万ほどないと手取りが100万円にならないレベルです。つまり、年収1680万でイーブン。
ワンポイントの経費としては、これに年に1度近く行っている海外旅行や、年に2回ぐらいは行っている国内旅行が加わり、さらに勉強意欲旺盛なためそれなりに高額な研修費が加わります。壊滅します。
挙げてみるとどれもそれなりに必要かつ根拠のある「経費」なのですが、合計してみるとエライことになってしまいました。そりゃ貯金もできんわ。
ということで、目下の最優先事項は売上を再度上げることと合わせて、経費の最小化を可及的速やかに実施することです。
まず第一ステップとして考えて、実際に着手しているのは下記です。
自分の食費 15万から10万へ
家族の食費 13万から10万へ
生損保 12.4万から6万へ
タクシー 5万から3万へ
合計16.4万の削減。
これでもなお経費が83.6万なので、致死レベルです。
引き続き経費最小化にはこだわってやっていきますが、売上最大化にしか興味がなかったため、苦戦しています。
自分の現在地に合掌。