お金を使わないとできないこと、お金を使わなくてもできること
成長を志す人間にとって、ある局面においては、「お金を使わないとできないこと」に目が向くようになります。
高級ホテルでホスピタリティの真髄を味わう。
飛行機でファーストクラスに乗って一流の接客を受ける。
高額セミナーに出て成功者の空気を吸う。
高級家具に囲まれて暮らす。
どれも自己概念を上げるのには非常に大事な手法でして、この効用に関しては一切否定するところではありません。なにせ、人間の自己概念というのは生まれてこの方からの凝り固まったものが支配していて、容易に変えることも強化することもできません。
なので、体験を通じてそれらを別のもの、つまり自分が目指す世界のものに入れ替えていくというのは、どこかで必ず必要な作業になります。
しかし、私のようにそれが行きすぎるとどうなるか?というと、自己概念だけは上がりますが、なかなかに深刻な状況になります。
「仕入れ」という名目で年間何百万円もの体験を買う。
「自己投資」という名目で同額の勉強代を使う。
「あとから回収できる」と言いながら、よくわからない同額の出費が増える。
こんなことが起きます。
高額ジム、たとえばライザップやゴールドジムなどもこの範疇です。何か特別な空間に自分がいるような気がして、自分の存在すら特別なものに思えてくる。実際にDoがめちゃくちゃにあればカラダも変わってくるのでしょうが、そこまで行かず、自己概念だけは肥大化する。
そうやっていつのまにか、
ライザップ:50万円(ジム代+よく分からないサプリ代)
ゴールドジム:2.5万円/月
マッサージやヨガや整体:1万円/月
ランニングステーション:8千円/月
といった出費が「当たり前」ものとなり、「カラダには投資しなければリターンはない!」などと本気で思い込むようになります。
よく考えればわかる通り、これらは全て、「無料」で可能です。
たとえば、風呂上がりにストレッチを習慣にしておけば、少なくともヨガや整体は要りません。
朝早く起きればランステに行かずとも着替えもシャワーも自宅で済ませられるし、毎日10分自宅で筋トレを365日している人のカラダは、かなり変わってくるでしょう。
さらに日頃から食事をコントロール(たとえば糖質150gまで、など)しておけば、体重も勝手に落ちていきますし、少し前より健康なカラダを手に入れることは難しくありません。
お金をかけずとも、これだけカラダを鍛えてケアしていれば、病院に将来行かねばならない確率もだいぶ下がるでしょう。
「お金を使わないとできないこと」は実は幻想であり、かなりの部分は自分の意思と仕組みの整備でなんとかすることができます。
逆に、お金をかけることで非効率になっている部分にも目を向けねばなりません。
例えば時間。
ジムに行って帰ってくると、軽く3時間はかかります。対して、家で筋トレをすれば、どんなに汗だくになったところでシャワー含め30分もあればだいぶ追い込んだトレーニングができます。
ジムでは強制的にトレーニングになりますが、自宅ではやると決めてやる。ただそれだけで、往復2時間半と、毎月2万円超のコスト、そしてそれらの時間とお金を他に振り向けたおかげで得られる利得が手に入ります。
「お金を使わないとできないこと」は実はそんなになく、「お金を使わなくてもできること」が意外と多い、ということにきちんと目を向けようと思う今日この頃です。
たぶん、筋トレだけで年間数十万円浮くはず。